結婚詐欺に遭ってしまい、何をすべきか迷っていないでしょうか。詐欺に遭ったという証明に必要な証拠や、頼れる相談先についてわかりやすく解説します。
一度は愛を誓った相手のすべてが嘘だった場合、心に大きな傷が残るでしょう。一人で抱え込まず、適切な相談先を利用して解決の一歩を踏み出してください。
結婚詐欺とは
結婚詐欺とは結婚する意思がないにもかかわらず、甘い言葉で異性を騙し金銭を奪う行為です。詐欺罪が認められると、加害者には10年以下の懲役が科せられる場合があります。
結婚詐欺かどうかは、民事裁判や刑事裁判において証拠にもとづき総合的に判断されます。
結婚詐欺だと判断されたときの、被害者のメリットは以下のとおりです。
- 社会的に被害が認められ精神的な安定を得られる
- 民事訴訟により貸金返還請求ができる
- 詐欺罪として相手を刑事告訴できる
- 加害者に対して損害賠償を求められる
- 精神的な苦痛に対する慰謝料を請求できる
被害回復のためにも、金銭的な損害の証拠によって詐欺と認められるかは大きなポイントです。
結婚詐欺の証明で必要とされる証拠
結婚詐欺を証明したいなら、次の5つの証拠を集めましょう。
- 金銭を渡したことを証明する証拠
- 婚約成立を証明する証拠
- 被害に遭ったことを証明する証拠
- 被害を受けた大きさを示す証拠
- 正当な理由なく婚約破棄された証拠
結婚詐欺だと認められ、相手に罰を与えたり被害金を取り戻すためには、被害が存在した事実と証拠が必要です。集めるべき証拠を、それぞれ具体的に解説します。
金銭を渡したことを証明する証拠
結婚詐欺を証明するには、実際にお金の受け渡しがあった証拠が必要です。詐欺師の嘘によって、財産を相手に渡してしまったと証明する必要があるためです。
次のような情報は、金銭をやりとりした有効な証拠となる可能性があります。
- 振込証
- 領収書
- 借用書
- 銀行通帳の記録
- 相手からお金を要求されたときのメール
- 相手とのやりとりを記した日記
もし証拠を処分してしまったら、再発行の手続きや記録の復元を試みてください。残っている証拠だけでも、確実に保管しておきましょう。
婚約成立を証明する証拠
両者が婚約関係にあった証拠も、結婚詐欺を証明する際に必要です。口約束だけの婚約では、結婚詐欺に遭ったという証明は困難です。
婚約成立を証明するために、以下のような証拠をそろえましょう。
- 「結婚しよう」と伝えられたメールやLINE
- 結納品の写真や領収書
- 婚約指輪の写真や領収書・現物
- 親族や友人などの第三者からの証言や写真
- 結婚式場や新婚旅行の予約書・領収書
- 結婚を前提として契約した賃貸住宅の契約書
詐欺師がお金を騙し取るために、さまざまな方法でターゲットに婚約を信じ込ませたとわかる証拠を集めてください。
被害に遭ったことを証明する証拠
結婚詐欺だと証明するには、被害に遭ったことの証拠が必要です。
次のような情報は、有効な証拠となる場合があります。
- お金に困っていることを告げるLINEやメール・会話
- 個人情報に嘘があったことがわかる資料
- 相手の発言と矛盾している内容のSNSの投稿
悪事のプロである詐欺師は罪にあたる条件を熟知しており、慎重に行動するため、証拠をつかむことは難しいかもしれません。相手とのやりとりをさかのぼり、細かくチェックしてみてください。
被害を受けた大きさを示す証拠
結婚詐欺師の行為により、被害を受けた大きさを示す証拠を集めて罪を立証しましょう。結婚詐欺は金銭的な損害だけでなく、社会的・精神的被害も起こします。
下の項目を参考に、書面やデータで証拠を残すようにしてください。
就労上の被害 | 会社とのやりとり 退職届のコピー 異動届や辞令のコピー |
精神衛生上の被害 | 診断書 通院にかかった費用 治療や内服における診療報酬明細書 |
女性特有の身体被害 | 診断書 エコー写真 中絶したことがわかる資料 |
苦痛に応じて、慰謝料を請求できることがあります。詐欺師の悪質な行為により失ったものはお金だけではないと、強く訴えられる情報を集めてください。
正当な理由なく婚約破棄された証拠
正当な理由なく婚約破棄された証拠も、結婚詐欺を証明するためには必要です。相手に結婚の意思がなかったことが証明されれば、詐欺だと認められる可能性が高まります。
急な婚約破棄や矛盾した態度も詐欺の証拠となります。
- 理由を告げられずに突然連絡を断たれた
- 話し合いもなく一方的に別れを宣告された
- 個人情報や結婚後の話に嘘があった
上記のように、相手の不審な態度がなかったかどうか振り返ってみてください。婚約破棄について、自身には非がなかったことを証明しましょう。
結婚詐欺に認められにくいケース
結婚詐欺として認められにくいケースは、以下のとおりです。
- お金を騙し取られていない
- 婚約の証明が口約束だけ
- 自分からお金を渡している
- 時間が経ち過ぎている
結婚詐欺と認められなかった場合は、被害金の回収も困難になってしまうでしょう。結婚詐欺にあたらないケースについて、詳しく解説します。
お金を騙し取られていない
お金を騙し取られていない場合は、結婚詐欺にあたらないことがあります。
詐欺とはお金を騙し取られたことを指すため、実際の金銭被害がなければ、ほとんどが結婚詐欺として成立しません。加害者に渡したお金が戻ってきたり、弁償されたりしたケースも対象にならないでしょう。
詐欺とは認められなくても、一方的な婚約破棄が原因でうつ病になったり、退職することになったりした場合は、慰謝料が請求できる可能性があります。
お金を騙し取られていない場合は詐欺にはあたりませんが、泣き寝入りする必要もありません。
婚約の証明が口約束だけ
婚約していた証拠がなければ、結婚詐欺に遭ったということは難しいでしょう。加害者から「結婚の話をしていただけ」と主張されてしまうと、詐欺だと認められにくくなってしまうためです。
時間が経過するごとに両者の記憶は曖昧になり、ニュアンスが変わってしまうこともあります。当事者間で解釈が異なってしまうと証拠にはなりません。
一方、婚約が成立していなくても、相手の嘘によって金銭を騙し取られていたら、詐欺にあたる可能性はあります。
自分からお金を渡している
自分からお金を渡しているケースは、結婚詐欺にあたらないことがあります。結婚詐欺を成立させるには、加害者に騙されてお金を渡した事実が必要です。
自分からお金を渡してしまったり、高価なプレゼントを贈ったりした場合は、贈与と見なされ回収が困難です。詐欺と認められないことがほとんどのため、簡単にお金を渡さないようにしてください。
一方、嘘の身の上話で相手の同情を誘って、経済的に援助してもらえるよう仕向けた証拠があれば、詐欺罪として刑事罰に科される場合もあります。
時間が経ち過ぎている
被害から時間が経ち過ぎていると、結婚詐欺だと認められないことがあります。時間が経つにつれてメールやメッセージなどの証拠が消去されたり、ねつ造されたりしてしまうことがあるためです。
さらに、詐欺師を訴えるための刑事告訴と民事訴訟には時効が定められており、一定の期間が経ってしまうと訴訟を起こせなくなります。
詐欺師に処罰を求めるための刑事告訴の場合、詐欺罪の公訴時効は一般的に7年です。詐欺行為から7年が経過してしまうと、相手に刑罰を科すことは不可能です。
民事訴訟では、被害者が詐欺だと知った時点から3年、または被害を受けてから20年で時効となります。いずれか早いほうの期間が過ぎると、損害賠償の請求はできません。
結婚詐欺の証明や解決のためには、早めの対応をしてください。
結婚詐欺の被害に遭った場合の相談窓口3選
結婚詐欺の被害に遭った場合の相談窓口は、以下の3つです。
- 警察
- 弁護士
- 探偵事務所
十分な証拠をすみやかにそろえて、専門の窓口へ相談することが解決へのポイントです。結婚詐欺の被害は、少しでも早く専門機関へ相談をしてください。
1.警察
結婚詐欺の被害に遭ったときの相談窓口の1つが警察です。警察は捜査を進めるために必要な権限を持っています。
警察は犯罪に関する豊富な知識と経験をもとに、今後とるべき対応について被害者へ適切なサポートをしてくれるでしょう。
警察への相談は無料でできますが、証拠や加害者の情報が足りないと対応してもらえないこともあります。また、警察は中立な立場のため、必ずしも味方になってくれるとは限らないという事実も認識しておいてください。
2.弁護士
結婚詐欺に遭ったら、弁護士に相談することも対処法の1つです。弁護士は、詐欺の被害と証拠を確かめたうえで、最適なアドバイスや法的手続きを代行してくれます。
当事者同士の話し合いでは、犯罪のプロである詐欺師に言いくるめられ、被害者が不利になってしまう可能性もあるでしょう。法的知識が豊富な弁護士に、交渉を一任できれば安心です。
しかし、証拠の不足や加害者の身元がわからないと対応してもらえないこともあるため、相談のタイミングには注意してください。
3.探偵事務所
探偵事務所も、結婚詐欺に遭ったときに頼りになる相談先です。スムーズに事態を解決したいけれど自力での証拠集めが難しい場合に、探偵事務所は優れた結果を出してくれるでしょう。
探偵事務所は被害の証拠集めや、詐欺師の身元のリサーチを得意としています。オリジナルのツールやノウハウを使う事務所に頼めば、結婚詐欺の解決に役立つ証拠が集まる可能性があります。
探偵事務所に集めてもらった証拠を持って、警察や弁護士へ相談すると、スムーズな解決への道筋となるでしょう。
相談したい探偵事務所に、結婚詐欺の調査実績があるかチェックしたうえで相談することをおすすめします。
結婚詐欺の証拠集めは探偵事務所へ
結婚詐欺の証拠集めは探偵事務所へ相談しましょう。
結婚詐欺の被害を解決したくても、詐欺師の素性や居場所がわからないことがほとんどです。電話が繋がらなくなったり、相手が引っ越していなくなったり、そもそも個人情報さえ嘘の可能性もあります。
個人で加害者の情報を調べることが困難な場合、結婚詐欺に関するリサーチを得意とする東京中央信用調査の利用がおすすめです。詐欺師の居場所や氏名などを突き止められる可能性があります。
結婚詐欺に遭い、証拠集めに困ったときには、ぜひ東京中央信用調査に相談してみてください。