結婚詐欺に遭い、相手を訴えたいとお考えではありませんか。しかし、成立要件を満たさないと、相手の結婚詐欺罪を追及できないかもしれません。
本記事では、結婚詐欺罪の成立要件や適用される罪をあきらかにします。よくある手口と成立しないケース、被害者がとるべき対処法も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
結婚詐欺の成立要件
結婚詐欺の成立要件には、「欺罔」「錯誤」「交付行為」「財産移転」の4つがあります。
4つとも聞きなれない単語ですが、ポイントは以下のとおりです。
- 相手を騙して結婚する気があると思わせる
- 嘘をつきターゲットに金銭を要求する
- 結婚詐欺師が金銭を受けとる
意思がないのにもかかわらず、お金を奪うために相手に結婚を信じさせたことが重要です。金銭的な被害がないケースでも、結婚をほのめかして相手を騙したことが確認できれば、未遂罪として追及できる可能性があります。
結婚詐欺で適用される罪
結婚詐欺罪が成立すると、10年以下の懲役刑が科される可能性があります。懲役3年以下の判決であれば執行猶予がつきやすく、実刑となるのは全体の4割ほどです。
民事裁判では返金請求に加えて、おおよそ30万~300万円もの慰謝料を支払うよう命じられる傾向です。精神的な苦痛の大きさによって慰謝料が決まります。
刑の重さや慰謝料の金額は、以下のポイントから判断されます。
- 付き合った期間
- 結婚準備のすすみ具合
- 詐欺の悪質さ
- 性交渉・妊娠・出産があったか
- 被害者の年齢
- 結婚を考えて退職したか
- 健康被害があったか
細かく確認して判断するには、あきらかな証拠が必要です。裁判を有利にすすめるためにも、プロの探偵に相談しましょう。
よくある結婚詐欺の手口
よくある結婚詐欺の手口の流れは、以下のとおりです。
- 出会い系サイトやアプリでターゲットを探す
- 一定期間交際する
- 少ない金銭のやりとりで相手を信用させる
- 嘘で大金を引き出す
結婚詐欺に多用される手口を知り、騙されないようにしてください。
1.出会い系サイトやアプリでターゲットを探す
結婚詐欺師は、出会い系サイトやアプリでターゲットを探します。婚活パーティーや街角で探すよりも、効率よく安全にターゲットを発見できるためです。
結婚詐欺師のターゲットになりやすい人の特徴は、以下のとおりです。
- 結婚願望が強い
- 結婚適齢期が過ぎている
- 高収入の職業についている
詐欺師はターゲットにできそうな人をみつけると、高収入・高学歴・家庭的といった、結婚相手として理想的な人物を装って近づきます。
理想的な相手が熱心にアプローチをしてきたら、詐欺の可能性を考えてください。
2.一定期間交際する
結婚詐欺師はターゲットと一定期間交際をして、結婚をほのめかすアプローチをします。甘い言葉をささやいてターゲットを信用させ、結婚相手として強く意識させる手口です。
熱烈にアピールするだけでなく、結婚詐欺師は相手から騙しとれる金額を計算するために、以下のような情報を聞き出そうとします。
- 収入
- 貯金
- 土地や建物などの財産
付き合う期間が長くなるほど、結婚詐欺師を信用してしまいがちです。通常であれば怪しいと感じる内容の質問でも、相手を信用しているとなかなか不審点に気づけません。
結婚詐欺師は自身の情報をできる限り教えない傾向があります。結婚相手として信用できるのか、冷静になって考えることが大切です。
3.少ない金銭のやりとりで相手を信用させる
結婚詐欺師はターゲットと一定期間交際したあと、少ない金銭のやりとりで相手をさらに信用させます。少額を借金してきちんと返す、ということを繰りかえし「お金を貸しても返してもらえる」と思わせます。
次第に借金の額が大きくなっていきますが、結婚詐欺師は返済してくれるためターゲットは不審点に気づけません。愛する相手が困っていると、なかなか断れないでしょう。
結婚詐欺師は金銭のやりとりを繰りかえすことで、すぐに貸してもらえる額を確認し、のちに騙しとれる金銭を調査します。
何度も金銭のやりとりを繰りかえす相手は怪しいと判断し、お金を貸さないようにしてください。
4.嘘で大金を引き出す
ターゲットを信用させ、騙しとる金額がはっきりすると、結婚詐欺師は嘘で大金を引き出そうとします。相手を将来の配偶者と考えている人は、いわれるがままにお金を貸してしまいがちです。
結婚詐欺師は、以下のような嘘でターゲットにお金を無心します。
- 借金を完済したい
- 親の病を治療したい
- 事故に遭い手術が必要になった
- 事業を継続するには資金が足りない
- 2人の将来のために投資をしたい
- 新居代・結婚式代を払ってほしい
もうすぐ結婚ができると思い込んでいるターゲットは、「2人のしあわせな将来に必要」といわれると大金を渡してしまいがちです。
結婚詐欺師はお金を受けとると姿を隠すため、連絡がとれなくなります。結婚前提の付き合いでも、大金を簡単に渡さないでください。
結婚詐欺罪が成立しないケース
結婚詐欺罪が成立しないケースは、以下のとおりです。
- 明確な結婚の約束が確認できない
- 金銭的被害がない
- 相手から金銭を請求されていない
- 相手が逃亡していない
- 証拠が残っていない
被害者が結婚詐欺と感じていても、法的には成立しない場合があります。各ケースをしっかりと確認して、今後の対策をたてる参考にしましょう。
明確な結婚の約束が確認できない
あきらかな結婚の約束が確認できない場合は、結婚詐欺罪が成立しない可能性があります。相手が結婚をほのめかした明確な証拠がないと、「結婚すると偽った」とはいえないためです。
「本当に結婚する意思はあったうえで、相手から大金を借りたものの、返せなくなった」といったケースも結婚詐欺は成立しません。結婚の約束とお金を借りる理由に嘘がなかったのであれば、詐欺ではないためです。
結婚詐欺では、お金を奪うために相手に結婚を信じさせた事実が非常に重要です。結婚する明確な約束がわかるメッセージや行動があったか振りかえりましょう。
金銭的被害がない
結婚詐欺罪が成立しないケースの1つに、被害金がないことがあげられます。「金銭を騙しとられた」は、詐欺罪成立には欠かせない要素です。
結婚をほのめかされたものの、金銭的な被害なしに相手と別れたり連絡がとれなくなったりした場合は、詐欺とはいえません。
通常の婚約破棄であれば、以下のような損失があっても「騙しとられた」とはいえないため注意してください。
- 結婚式のキャンセル料
- 両親へのあいさつにかかった交通費
- 同棲していた住宅の家賃
しかし、上記のような金銭的な損失は、婚約を破棄した慰謝料として請求できます。第三者に相談して被害を回復できるか確認しましょう。
相手から金銭を請求されていない
相手から請求されていないのにもかかわらずお金を支払った際は、結婚詐欺罪と認められません。ターゲットが自発的に渡した行為に「騙された」という要素がないと考えられます。
経済的に困っている様子を見せ、相手が自らお金を渡すように誘導するケースは判断が難しいといわれています。結婚詐欺罪が成立するか判断するには、相手とのやりとりを詳しく確認しなくてはいけません。
金銭を請求された事実があっても、相手が「請求していない」といい張り、被害者が証拠を示せないと結婚詐欺と認められない可能性があります。
金銭のやりとりをする際は、金額の大きさにかかわらずしっかりと書面に残してください。
相手が逃亡していない
大金を騙しとった相手が逃亡していないケースも、結婚詐欺罪が成立しないおそれがあります。相手と連絡がとれる状態であれば、「騙しとる意思があった」と証明しにくいためです。
相手が逃亡していないのにお金を返してもらえないケースは、以下の状況も考えられます。
- 返金を忘れている
- 返金の準備をしている
- 返金の意思はあるものの目途が立っていない
お金を借りた理由に嘘はなく、当てにしていた収入がなくなり返済できない、という事例では結婚詐欺は成立しません。
逃亡する、もしくは金銭トラブルに発展する可能性を想定し、連絡がとれるうちに借用書を準備してください。
証拠が残っていない
証拠がないケースのほとんどが、結婚詐欺罪として成立しません。結婚するといわれたり金銭を騙しとられたりした場合でも、あきらかな証拠がないと被害者が単に思い込んだとみなされます。
以下は、結婚をほのめかした証拠になりえます。
- プロポーズ時の音声
- 結婚前提の付き合いがあったという証言
- 結婚をほのめかす文面のやりとり
- 結婚式や式場見学の予約事実
金銭のやりとりがわかる文面や通帳・送金完了画面のスクリーンショットなど、お金の移動がわかる証拠も重要です。
口約束や会話は証拠にならないため、「結婚をほのめかした」「嘘の理由で金銭を要求した」と明確にわかる情報をあつめましょう。
結婚詐欺に遭った際の対処法
結婚詐欺に遭った際の対処法は、以下があります。
- 刑事告訴して相手に罰則を与える
- 民事訴訟により被害金を取り戻す
双方ともに視野に入れて、被害が回復できるようにしてください。希望するゴールに向かって対処するには、証拠をそろえることが何より大切です。
刑事告訴して相手に罰則を与える
結婚詐欺に遭ったときの対処法として、刑事告訴の検討があります。刑事告訴とは加害者に刑事罰を求める手続きであり、刑事事件として立件されると捜査がはじまります。十分な証拠があれば、結婚詐欺師はまもなく逮捕されるでしょう。
警察への届出の1つである被害届は、犯罪の被害に遭ったことを申し出る手続きであり、刑事告訴のように罰を求められません。
結婚の約束や相手からお金を要求された事実を証明できないと、詐欺の立証が難しい場合があります。警察よりも先に探偵に相談し、証拠をあつめてください。
民事訴訟により被害金を取り戻す
民事訴訟を通じて金銭を取り戻すことも、結婚詐欺に遭った際にとれる対処法の1つです。民事訴訟では加害者に損害賠償を求め、失った金銭を取り戻せるようアプローチできます。
起訴をする前に、結婚詐欺師に返金交渉や支払い督促をすることが一般的です。応じてもらえない際は民事起訴に踏みきると、より強く圧力をかけられるでしょう。
裁判で返金と慰謝料の支払いを命じられたものの履行されない場合は、相手の財産差し押さえをして、否応なく払わせられます。
民事裁判でも、相手がわざと被害者を騙して経済的な損害を生じさせたと立証しなくてはいけません。先に探偵に依頼し、証拠をあつめてから弁護士に相談するとスムーズに対処できます。
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